P2. キャノンDPPのHDRツールできれいな写真を作る

2016- 1- 8初版   2024- 2-28更新

 
 キャノンDigital Photo Professional(以下DPPと略す)はキャノンのデジタル一眼レフを購入したら使用可能なソフトです。
 DPPにはHDR(High Dynamic Range)ツールというソフトがついています。 風景などの静物画像が主な対象だが白飛びや黒つぶれを緩和した広いダイナミックレンジの画像や、絵画のような画像を生成することができます。 露出不足の暗い画像や曇りの日の画像のようにコントラストの低い画像の救済もできるので応用場面が広い。
 DPPには32ビット版OS対応のDigital Photo Professional ver.3(DPP3)と64ビット版OS対応のDigital Photo Professional ver.4(DPP4)の2つがあるが両方にHDRツールがあります。 DPP3のHDRツールに処理対象画像サイズの制限がある他は制約条件はほとんど同じで同じように使えます。(DPP3とDPP4で調整効果の効き方の違いあり
 DPPの処理対象画像 : DPPが対応している種類が処理可能、当初一部違いがあったが最近のバージョンは違いなし。
 [対応画像] DPP4: CR3、CR2、JPG、TIFF(RAWが最新対応)   DPP3: CR2、JPG、TIFF
 DPP3のHDRツールの画像サイズ制限: 6666 × 4444 画素を超える画像は対象外という制限があります。(注2)
(注1) 画像のダイナミックレンジを拡張できるのでレタッチ範囲を拡大できます。 画像が1枚の場合は暗い画像の処理は可能だが、白とび気味だけの画像の場合はダイナミックレンジ拡大の効果はわずかです。(適正露出または露出アンダーの画像がないと効果が十分でない)
(注2) DPP3の画像サイズ制限の6666 × 4444 画素を超える画像は読み込み時にはエラーにならずファイル出力をしないソフトの作りになっています。(画像サイズによりエラー表示する) 画面表示やHDR操作はできるがファイル出力しない(何もしない)場合は画像サイズを確認。
    (Win7 64ビットOS 16GBメモリで横幅9000ピクセル画像が処理できたのでOSバージョン対応で制限が違う可能性あり)

(参考) キヤノン:製品マニュアル|Digital Photo Professional|HDR画像の生成 (有償機能の説明あり

 [64ビットバージョン] 
ソフトのダウンロードには対応製品のシリアルナンバーが必要。
  64ビットバージョンの高機能なDPP4を2014年にリリースした。(DPP4は画面構成、UIを一新して使い方も違う)
  デジカメの対応機種は当初上位機種だけだったが中級機以下の入門機種まで拡大された。
  キャノンのDPP4紹介HP: 
http://cweb.canon.jp/eos/software/dpp4.html
  当初、DPP4にはHDRツールはなかったがバージョン4.2.32からHDRツールが付くようになった。 また、機能制限
 付きで32ビットバージョンも作られるようになった。(
DPP4の32ビット版にHDRツールはない
  DPP3とDPP4のHDRツールでは操作は同じだがHDR効果が違い、ほとんどの場合はDPP4側の方が良い結果に
 なるが稀にDPP3のHDRツールが良い結果になる場合があることが分かった。(調整の難しいものは両方をトライ)
 
(注) DPP4はデジカメ撮影画像は他メーカーカメラの画像も処理できるが何かの加工処理の情報で処理できなくなる画像あり。
     また、HDRツールで処理はできるが保存できない画像がある不具合あり。(ver4.3.31で確認)
     処理できない画像の条件の1つはPhotoshop CS6で処理した画像をMS ICEでパノラマ合成した場合にエラー発生を確認。
     DPP4は他メーカーソフトで処理して追加情報がある場合にエラーが起きることがある。
    
(参考) エラーが起きるJPEG画像をDPP4/DPP3で変換して保存という処理をするとエラーなく処理できる場合があります。
        (画像表示できるJPEG画像はこの手順が使えるが画像表示しない場合はDPP3で変換保存して処理できることあり)


(参考)
DPPのHDRは効果が強過ぎる場合があり使えない画像もあるが使い方が簡単で広範囲に使える。
     Photoshop CS6にも[色調補正]-[HDRトーン]でHDR処理が可能、調整箇所が多くほとんど使っていない。
     (DPPのHDRよりも広範囲に調整できるのでDPPのHDRでは処理できない場合に使っている)


 操作の詳細は各DPPの使用説明書(オンラインマニュアル)に譲るが基本操作は次の通り。
 (DPP3にHDRツール([高度な画像編集と印刷]-[HDR画像を生成する])ほかのヘルプ説明があるがDPP4にはヘルプ説明がない
  1.メイン画面で画像を選択して表示させる。

  2.メニューの[ツール] → [HDRツールを起動]を選ぶ → [画像選択画面] が表示される。
    (露出違いの画像があれば選択するが、なければ次へ進む)
     (注) 暗い画像を明るく処理する場合はPhotoshopなどで明るい画像を作ることで代用できます。

  3.必要な設定(画像選択と自動位置合わせ指定)を行い、[HDR開始]ボタンを押す。
     となっているが(露出オーバー/アンダー画像のない)1枚だけの画像の場合は[HDR開始]ボタンを押すと処理を開始。
     この後、手っ取り早いのは[プリセット]を変更して希望する画像の効果を最初に設定する。
     [プリセット]は最初の仕上がり効果を決めるもので次の種類があり、設定効果に変化を付けている。

ナチュラル
初期設定
明暗差の大きいシーンで、通常は白とびしてしまう部分や、黒くつぶれてしまう部分の描写が補正され、白とびや黒つぶれが緩和されたような仕上がりになります。

絵画調標準
絵画のような階調で、印象的な仕上がりになります。

グラフィック調
絵画調標準よりも、鮮やかな仕上がりになります。

油彩調
絵画調標準よりも、鮮やかで、被写体の立体感を強調する仕上がりになります。

ビンテージ調
絵画調標準よりも鮮やかさを抑えることにより、古めかしい感じの仕上がりになります。
(注) どれも[トーンカラー]と[細部強調]でかなり調整ができるので最初に見当をつけて調整結果を比較することになる。
    [プリセット]が違っても[トーンカラー]ほかの設定を調整することで別のプリセットと同じにできる。
 
4.HDRツールの画像調整
[トーンカラー]で明るさ、彩度、コントラストの大まかな調整、[細部強調]で強さ、滑らかさ、鮮明さを調整する。
[細部強調]は1枚画像の場合はシャドウ&ハイライトのような調整ができ強さで効果の利きの大きさ、滑らかさで利き加減の微調整ができ、[トーンカラー]と[細部強調]を調整して画質を調整する。
  複数画像の場合は滑らかさを100%にして強さを0→100%方向へスライドさせてブレンド量を調整する感じの調整になります。 Photoshopで2枚目画像を作って代用した場合で元画像のコントラストが強い場合は明るさの変化量を少なくしないと画像が白っぽくなり露出変化を少なくした画像が必要と分かった。
(注1) [細部強調]の強さは画像の全体と細部のコントラストを調整する感じで補助光の機能に近い。
    イメージ処理が16bit/チャンネル処理なので8bit/チャンネルのソフトに比べて良い結果が得られる。
    明るい画像の場合はコントラストを上げて明るい領域を有効に使うように調整することもあり。
(注2)
滑らかさは画像全体の滑らかさを調整します。 最大にすると強さを強くかけた時の明暗の境界部が白くなることを抑えることができます。(目立たなくできる
   鮮明さ(アンシャープマスク?)は拡大表示ができないので保存して別のソフトで確認することになる。
 (HDRツールからDPPへ戻って表示することは可能だが調整を繰り返して結果を確認するには不便
(ご参考) HDRは画像のコントラストを強調する処理なので画像全体の明るさ、コントラストに影響します。
       RGBを0〜255のレベルで調整しているので妥協できる範囲を探すことになります。
       HDRは元々コントラストを上げる処理なのでコントラストの強い画像の処理に向いていません。
       場合によっては普通にPhotoshopなどのアプリで調整した方が良い結果になる場合があります。
     露出の違う画像を使うとコントラスト強めの画像をコントラストを抑えた処理ができます。

5.[名前を付けて保存]ボタンを押して結果を保存する。
   HDRツールでは色かぶりのような画像やコントラストがきつくシャドウが暗い画像になることがあるが
  Photoshop CS6でレタッチしてHP画像に変換している。(Photoshop CS6のレタッチ可能範囲を考慮)

(処理例1) DPP4の処理例  (ご注意) 画像DB更新により対象画像のリンクがずれる場合があります。 2016-12-23
       (以下、すべて新しいウインドウで開きます)
        摩周湖第一展望台から − 摩周ブルーの湖面と手前の鮮やかな木々のイメージが出せた。
        都井岬  志布志湾   − EOS Kiss Digital N、EOS 40Dで撮影した暗めの画像を処理。
        双湖台B  双湖台C −− 被写体まで距離があるのに間近で撮ったような鮮やかな画像が作れる。
(処理例2) DPP3の処理例
       佐多岬  −−−−−−−−− 海面の色を鮮やかにシャドウ部分も明るく。
       摩周駅  摩周駅前パノラマ − 暗い曇りの日の画像を明るい色調に調整。
(注1) 効果を最大限に生かすためには、露出の異なる3枚(露出アンダー、適正露出、露出オーバー)の同一シーンの画像から生成することが推奨だが、2枚の画像、または1枚の画像からの生成もできる。(処理例はすべて1枚)
  1枚画像でHDRツール処理して暗部が黒くなり過ぎた部分はPhotoshopで補正する簡易的な方法で使っています。
(注2) HDRツールで保存時の画像が16bit/チャンネルでも記録可能で、この場合は画像の[イメージ]−[変形]での変形メニューがグレーアウトしてPhotoshopなどのソフトで変形処理ができなくなる。(変形ほか文字入力などイメージ操作関連の処理ができなくなるが、回転やサイズ変更などの処理は可能)
 [イメージ]−[モード]ー[8bit/チャンネルに変換]で通常の8bit/チャンネル画像に変換することでイメージの変形処理が可能になる。 (HDRツールのファイル出力はExif-JPEG、Exif-TIFF 8bit、TIFF 16bit、Exif-TIFF 8bit+Exif-JPEG、TIFF 16bit+Exif-JPEGの5つの出力形式があり、最後の2つは2種類のファイルを同時出力するので注意が必要)



 
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24- 2-28:キャノンのDPP4の説明書リンクを追加。([対応画像]の下)
23- 9- 6:
DPP4の最近のバージョンはDPP3の対応画像以上になった、3.項 必要な設定の説明を更新。
17-10-29:
4.項 HDRツールの画像調整の説明を更新。(調整ガイド(DPP3対応)を削除)
16-12-24:DPP4とDPP3の処理対象画像の違いを追記。
16- 1- 8:初版 (キャノンDigital Photo ProfessionalでJPEG画像処理からHDRツール部分を独立、再編集)
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12- 4-20:2.HDR(ハイダイナミックレンジ)画像の生成を追加。(キャノンDPPでJPEG画像処理


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