ここではパノラマ用に撮影した写真からパノラマ合成写真を作る方法を紹介します。
最近ではパノラマ合成を高精度で自動処理するソフトが出てきたので発想の転換が必要になりました。
(注) このページは作成時期が古く内容が古いものになっています。 そのため、基本事項の参考としてお読み下さい。
撮影を特に注意して行い、後はMicrosoft Image Composit Editor 2を使って処理するだけになっています。
2009年5月にPhotoshop Elements 7を購入、暫く使わずにいたがパノラマ合成の機能が格段に強化され高い確率で自動合成するので内容を見直しました。 Photoshop
Elements 7のPhotomergeで2009年8月に函館山夜景のパノラマ合成をやり直したが画像選択と円筒法のレイアウト指定だけで自動的に合成されました。(夜景パノラマA、Bを除く)
その後、Microsoft Image Composite Editor(以下
Microsoft ICE)がPhotoshop Elements 7のPhotomergeよりも更にきれいにパノラマを自動合成することが分かったので内容を更新しました。 パノラマ合成については処理方法の優位性から他のパノラマ合成ソフトよりも高精度に合成、複数の合成投影する機能があるなど従来のソフトを超越する結果になった。
1.撮影
最近はパノラマ合成を自動処理するものが出てきて簡単に合成できるようになったがパノラマ合成の基本を知っていることは重要で良好なパノラマ合成結果を得るためのポイントになります。
撮影は最も肝心の部分で撮影がキチンとできていればパノラマ合成が非常に楽にでき失敗が少なくなります。
撮影画像の中のイメージ間でズレがあるとパノラマ合成処理が難しくなります。 特に近距離の被写体がある場合は画像間でのイメージのズレが大きくなりやすく、至近距離に被写体がある場合はどのように撮影してパノラマ合成するかがポイントになります。
露出固定で撮影、レンズ中心を考えて撮影することが重要、首振り撮影をすると近景イメージのズレが大きくなりパノラマ合成でうまくつながらなくなります。(三脚を使いレンズの振り方を注意した場合は極端に近い被写体がなければ問題なし)
<至近距離被写体に注意>
(参考)35mm換算で35mmくらいのレンズを付けたカメラの場合、レンズから被写体の一番近い部分までの距離をCCDの水平画素数の半分で割った値が、レンズの光学中心が動いてもよい限界の距離の目安との説明を見ました。 この説明でいくと水平画素数が
2000 ピクセルの広角タイプのカメラで100m 離れた被写体の場合、水平画素数の半分の値は 1000 、100m/1000
= 10cm、10mの場合は1cmとなり距離が近いほど厳しくなります。
夜景の撮影は手持ちでは不可能なので三脚を使っていますが、昼間の撮影では手持ちで撮影しています。
(注) 最近はISO感度の高いデジタル一眼レフが出て、イメージ
スタビライザー付きレンズを使うと夜景パノラマを手持ち撮影可能です。
露出は固定露出でそれぞれのコマの色調を合わせることが基本です。 しかし、デジカメの場合は固定露出機能のないカメラもありますがパノラマ合成ができないことはなく難度が上がると考えます。
(私の場合も最初は自動露出だけのデジカメでした)
カメラの持ち方はレンズを左手で持ち、手首を軸にしてレンズを回すようにして撮影しています。
レンズ中心を保ちながら回転させるが手首が回らなくなると持ち替えます。
三脚で撮影した方がきれいにパノラマ合成ができるが、三脚を持ち歩いたりセッティングしたりの手間とのトレードオフだと思っています。(画像の傾き、結合部の重複範囲のバラツキが問題
− 問題ないソフトが出てきた)
(注) 私の撮るパノラマはせいぜい180度程度の範囲なのでこの程度でもなんとかなっています。
三脚を使って撮影した画像は簡単につながるが、手持ち撮影では後で傾き補正が必要な場合があります。
(手持ちで広い角度範囲を撮影する場合はどうしても撮影画像の傾きが出ます)
(合成ソフトにMicrosoft ICEを使う場合は傾きがあってもそのままでパノラマ合成処理ができます)
2.使用カメラ、フィルムスキャナー
1)使用カメラ (使用デジタル一眼レフ)
2010年時点では1510万画素(4752×3168)のデジタル一眼レフ Canon EOS 50Dだけを使っていました。 現在所有しているニコンのフイルムスキャナー(COOLSCAN V ED、画素数5637×3758、FH-3マウント計算値)に迫る画素数です。
HP用に使う画像としては画素数が多過ぎるので普段の撮影はスモール(370万画素、2352x1568)、パノラマ画像用や望遠拡大にはミドル(800万画素、3456x2304)、ラージ(1510万画素、4752x3168)を使用。
2003年までは高画質で画像の歪が少ないのでフィルムカメラをメインにしていたが、2003年にデジタル一眼レフを買ってからはデジカメへの依存度が高くなり2007年11月にフィルム一眼レフが壊れたので以後はデジタル一眼レフだけでの写真撮影になっています。 露出を間違えなければすぐにパノラマ合成でき作業が楽になりました。
(デジカメの露出オーバーの画像は救えないので要注意、露出不足で暗めの画像はソフトでの救済処理が可能)
2)フィルムスキャナー (2007年11月以前に撮影したネガフィルム対応のみ)
フィルムスキャナーを使う場合はコマ毎の自動露出をさせないことが必要で取扱説明書などを確認することが必要です。 私の使っていたニコンのスキャナーは自動露出させない設定が使用中に外れてしまい、その度に関連する基準のコマを使って設定をやり直した。(ソフトの作りが使い方に合っていない)
その後、上の方式ではうまく行かないことが分り各コマについてスキャン後に同じような色調になるようにフィルムスキャナーの設定を変えながら処理することにしました。 スキャナー読取り時に色調のレベルがある程度に合っていないとレタッチソフト(Photoshop)で色調を合せるのは難しいと分ったからです。
(注1) フィルムスキャナーは2004年3月にNikon COOLSCAN V
EDに更新したがデジカメ画像をメインにHPを作っているため本格使用の予定はありません。(1コマ画像は問題ないがパノラマの場合の設定方法を調査中)
(注2) 以前はフィルムスキャナー(Nikon COOLSCANV)で読取りの難しいネガを処理する時にいろいろ試してみました。 スキャナーの処理方式はプりスキャンで指定領域の色情報を読み、その結果からそれぞれの色(RGB)についてコントラストが最大(自動設定の場合)になるように調整し、その後にカラーバランスをとっているようです。(基本的にコントラストを自動に設定して使うようになっている) 従って、プりスキャンでコントラスト等を自動処理させないと色調の良いきれいな画像にならない。 パノラマの場合は同じ露出で撮っているので設定固定で処理をしないとコマ間での色調が狂ってしまうが、プりスキャンを停止していてもスキャナーのファームウェアのロジックで設定が外れておかしな色調になってしまうことがある。
また、パノラマ撮影で間違ってコマ間で露出の違うものがあった場合はアナログゲインでスキャンする光の強さを調整することで補正可能なことが分かった。
3.パノラマ合成ソフト
最近、パノラマ合成ソフトは数も増えて、カメラメーカーのデジカメ付属ソフトほかで沢山の種類がありパノラマ合成方法の種類も増えてきたがこのページでは 私の使ったことのあるMicrosoft
ResearchのMicrosoft Image Composite Editor(以後、Microsoft ICE)、アドビのPhotoshop
Elements 7(以後、PE7)、およびPhotoshop Elements 3.0(以後、PE3.0)とキャノンのPhoto
Stitch、の4つだけを紹介しています。(現在はMicrosoft ICE2、Photoshop CS6を使用)
(注) Photomergeの名前が同じためPhotoshop Elements 7のPhotomerge、Photoshop
Elements 3.0のPhotomergeと色分け表示します。 Microsoft
ICEはICE、Photo Stitchについてはタイトル部分をPhoto Stitchと表示。
・Microsoft ICE (Microsoft ICE2の使い方)
Photomergeをネットの掲示板で紹介して視点補正機能があると便利とのことでネット検索で見付けたソフト、パノラマ合成についてはPhotomergeよりも更にきれいに精度高く合成できることが分かったソフト。
2015年2月にバージョン2がリリースされ投影方法の種類が増え使い方に合わせて投影方法を選ぶことでより自然な見え方のパノラマ画像を作ることが可能になった。 更に合成したパノラマ画像の周辺部分を自動補完する機能が追加されパノラマ画像サイズを最大限の大きさで短時間で作れるようになった。
(注) その後、無料ソフトで画期的処理方法による機能で他を圧倒したがMSからダウンロードできなくなった。
ダウンロード問題については「Microsoft ICE2の使い方」を参照。
(注)
パノラマ合成結果がPhotomergeよりも良いのは投影合成の精度の問題と思われる。 撮影方法が悪くて両方でつながらなかったものがあり、Photomergeでつながった画像をICEに使ったら同様のつながり方になったが両方に微妙なズレが残った。(撮影方法が悪い場合でもICEの方が良い結果になる傾向がある)
・Photoshop Elements 7(PE7)のPhotomerge
2009年8月から使い始めたPhotomergeが新世代のソフトとして従来より格段に機能が向上していることが分かった。
従来はPhotomerge
Panoramaだけだったが、PE7ではPhotomergeの中に Group Shot、 Faces、 Scene Cleaner、
Panoramaの4機能になり合成関連のレタッチ機能が強化された。(パノラマ合成はPhotomerge@ Panoramaで処理)
パノラマ合成はPhotomerge@ Panoramaのレイアウト指定だけで自動処理するように作られたが高機能になった分だけCPUやメモリを使用するので、快適に動かすにはそれなりのハードと最近のOS環境が必要です。
・Photo Stitch
2009年8月まではパノラマ合成はキャノンのPhoto Stitchをメインに、アドビのPE3.0のPhotomergeをサブで使ってきた。 Photo
Stitchはレンズ焦点距離を使って処理するのでそれなりにうまく合成する。 画像順指定だけの自動処理でうまく行かない場合は特徴点を指定して調整する必要がある。 前処理なしでほとんど合成できるが暗い画像を合成する場合は事前に画像を明るくする必要がある。(暗い画像の特徴点認識が弱い)
・Photoshop Elements 3.0のPhotomerge
特徴点を探して自動処理することが基本のらしいが自動でつながることはほとんどなく手動介入が必要。 画像の重複量と接合度合いに条件がありきれいに合成するためには重複量と色調合せが必要でかなりを手で処理することになる。
従来、前処理として色調補正にはPhotoshop 6.0、明るさ調整にはPhotoshop
Elements 3.0を使ってきた。 PE3.0以後の「シャドウ・ハイライト」の明るさ調整機能は強力で使い方が分かると非常に便利で暗い画像を明るくできます。
1)パノラマ合成の方法
ここは三脚を使ってどの位置で結合するかを考慮した写真の場合は簡単につながるが手持ちで適当に撮影していると苦労します。(撮影で三脚を使うこととのトレードオフです)
しかし、パノラマ合成で苦労するのは昔の話になってきて最近のソフトでは高精度で自動合成するタイプのソフトが出てきた。 今まで苦労してきたのは何だったのかと思わせるものがあり、もっと早く使っていれば良かったと思わせられます。
・ Microsoft ICEの場合はパノラマ合成の画像入力だけでで自動合成します。 パノラマ合成の投影法設定は3D空間へ投影合成する時に指定することで変更できる。 投影方法(Projectionボタンメニュー)は2次元遠近法、円筒(水平、垂直)、球面(水平、垂直)があり、投影合成した後でイメージの回転、縦横の変形が可能。(視点補正は投影してから表示画面中心部を上下左右にドラッグする) 2015年2月に投影方法を拡張したバージョン2がリリースされた。
(注) バージョン2になり更に投影方法の追加で合成画像の選択肢が増え、自動的な回転補正で水平ほかの自動調整機能が追加された。
StitchのCamera motionで入力画像タイプを指定して通常の1点からのパノラマ撮影(Rotating Motion)、スキャナーでスキャンした画像(Planer
Motion 1)、壁面の横移動撮影(Planer Motion 3)、スキャナーと壁面の横移動の中間(Planer Motion
2)となっている。(入力画像指定がパノラマ撮影(Rotating Motion)の場合だけ[Projection]ボタンメニューによる投影法の選択が可能)
ほとんどの場合でうまくつながるが稀に全画像を合成しないで部分合成だけで終了したり、細部でパノラマ合成にズレのある場合もあることが分かった。 パノラマ合成での撮影コマ間での色調合せが積極的に行われつなぎ目での境界部分が滑らかで目立たない。 手動設定でパノラマ合成する手段がないので自動処理でつながらない場合の対応が難しい。
・ Photomergeの場合はパノラマ合成のレイアウト指定だけで自動処理で合成します。 画像の配置順の指定不要、レイアウト指定を手動に指定すると手動設定が可能になりPhotoshop
Elements 3.0と同様の処理になる。
パノラマ合成のレイアウト指定の(自動、遠近法、円筒法、位置の変更のみ、手動設定)の指定だけで自動処理する。 色々試した結果、ほとんどの場合でうまくつながるが自動処理で稀に全画像を合成しないで部分合成だけで終了したり、細部でパノラマ合成にズレのあることが分かった。 しかし、パノラマ合成のつなぎ目の境界部分の色調合せや目立ち難さに対する機能が良く効いて合成結果がきれいです。
Photomergeでは前処理なしで高い確率でパノラマ合成が可能だが色調の違いが大きい画像を自動合成から外してしまう場合があり、この場合は手動設定で処理します。(この場合でもすべてうまく行く訳ではない)
手動設定のレイアウト指定がPhotoshop Elements 3.0のPhotomergeと同じレベルの処理。(表示倍率が大きいのでPhotoshop
Elements 7の方が作業が楽にできます)
・ Photo Stitchの場合は撮影画像の配置順の指定だけでつながります。 合成結果に不満な場合は[つなぎ目の表示]−(つなぎ目をクリック)−[対応箇所の指定]を指定して合成処理を調整する。 対応箇所の指定方法は画像を合わせて対応箇所を指定する方法と、対応ポイントを指定して対応箇所を指定する方法の2通りがあります。 指定方法によってつながり方が違うので試行錯誤することになります。(つなぎ目に色の濃淡が出る場合は[対応箇所の指定]を指定して位置を変更して濃淡を合わせて合成処理を調整すると改善できる場合があります)
・ Photomergeの場合は色調と画像マッピング(画像特徴抽出)が合うと自動でつながるがほとんどの場合は途中で止まり結合箇所の指定や画像の調整(過剰重複部分の削除など)が必要です。
Photomergeはつなぎ目を探したり色調をブレンドしてぼかしてくれるので(高度な合成)使いやすいと思っています。(色調が合っていること、つなぎ目の位置が合うことがポイント)
うまくつながらない場合は、つながり具合を見ながら画像の重複サイズや傾きを調整します。(画像マッピングの整合の度合が画面上に見えるのでその付近を結合点になるように調整する、時には画面をルーペで覗いています) また、どうしてもパノラマ合成したい場合には画像を変形してゆがみ補正をかけて特徴点を合わせることも対応手段になります。
画像の重複量によってもつながり具合が変化するので重複量が過大な場合は画像サイズを小さくして調整します。(慣れるとどちらの画像が大きいための影響か分かるようになります)
2)パノラマ合成ソフトによる処理の違い
・ ICE (Microsoft Image Composite
Editor)
パノラマ合成用の画像を入力するだけで自動処理で合成します。 投影法の指定と調整により希望する画像を出力できます。 ファイル形式(JPEG、TIFF、アドビPSD(ICE ver
1.2r1/ 1.4.4/ 2.0.3)、BMP、PNGほか)で出力が可能。
マイクロソフト製のWIC codecが使用できる場合はRAW画像を入力することが可能で高画質画像を作成できます。
(注) RAW画像入力にはMicrosoft カメラ コーデック パックのインストールが必要だがダウンロードできなくなった。
(Win10はMicrosoft カメラ コーデック パックのインストールなし(既に入っているらしい)で対応カメラはRAW画像入力が可能)
投影方法は最初はデフォルト、2回目以後は前回の設定が使われるが投影法の指定を変更ができ簡単に投影法と見え方を調整できる。(バージョン2になって投影方法が増えより自然な見え方の画像が作れるようになった)
使い方 Microsoft
Image Composit Editor2の使い方 (当サイト内)
(ICEの特徴)
パノラマ合成用に撮影した画像を投影面で画像を合成する処理をしているらしく高い精度で自動合成できます。
カメラの撮影方向のズレに強い(位置ずれは厳しくチェック)、他のソフトに比べて使用メモリが少なく処理が早い。
投影方法の数が多いので特殊効果の画面を作ったりゆがみ(視点補正)の調整が可能。
(制限事項)
・パノラマ合成処理の対象になるファイル形式に制限があります。(JPEG、BMP、TIFF、PNGはOK、一部のRAW)
・画像サイズの違うものも合成するがトリミングした画像がある場合に画像内にズレが発生することがある。
(投影合成する際にトリミングした部分で画像のズレが大きくなるのが原因と思われる)
・ ICEのパノラマ合成例
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(遠近法)
遠近感が強調され左右両端が大きなパノラマになるので個人的には違和感がある場合が多いが、良し悪しは被写体のレイアウトに関係する。 (視点補正であおり効果が可能)
合成画像によってパノラマ合成独特の中央部が膨らむ歪のない(歪の少ない)画像合成が可能な場合があります。 吉備津神社
回廊パノラマ 五稜郭 |
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(円筒法、水平投影) バージョン2で投影法が増え選択肢が広がる。
パノラマ合成で一般的な投影法、視点補正が可能で調整によりかなりイメージが変化する。
Photo Stitchで合成した場合も近いイメージだが投影モデルが違うので俯瞰撮影ほかに差が出る。 |
(画像例を省略) |
ICEには他に円筒法(垂直投影)、球面(水平、垂直投影)があるが普通のパノラマ合成画像としては使わない特殊な場合の画像なので画像例を省略します。
ICEバージョン2から画像のゆがみの程度を調整できる投影方法が追加されたのでそれぞれの投影方法で確認・調整ができる。
(投影面の計算だけなので簡単に切替できる) |
・ Photomerge (Photoshop
Elements 7)
パノラマ合成のレイアウト指定の自動、遠近法、円筒法、位置の変更のみ、手動設定の指定だけで自動処理することを目的に作られているようです。 画像サイズに変化があっても合成してくれるのはPhotomergeと同じで制約がない。
前処理なしで合成するように作られているがパノラマ合成が難しい場合はPhotomerge用に前処理した画像を合成した場合はよりきれいに合成できます。 パノラマ合成のつなぎ目の境界部分に対する色調合せや目立ちにくさに対する処理が今までのソフトよりも良くできています。 接合部を目立ちにくくする処理を行っているらしく水面などにくっきりした変化が出ない。
(Photomergeの特徴)
パノラマ合成のレイアウト指定だけで自動合成することを目的に作られているのでパノラマ合成用に撮影した画像を高い確率で自動合成できます。 今まで苦労してきたことは何だったかと思わせる部分があります。
すべてがうまくパノラマ合成できる訳ではないので難しいケースについての確認をキチンとやらないと見かけ上はつながっているように見えて細部にズレがあることを認識する必要があります。(色調の違いが少ないので要注意)
(制限事項)
・最初にパノラマ合成のレイアウト指定(投影法の指定)をして後から変更ができずに最初からやり直しになる。
・パノラマ合成処理の対象になるファイル形式に制限が少ない。
・画像サイズの違うものも合成するが画像サイズに違いがない場合でも画像内にズレが発生することがある。
・ Photomergeのパノラマ合成例
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(遠近法、自動処理) 自動にした場合は遠近法になることが多い。
遠近感が強調されたパノラマになるので個人的には違和感があるが、良し悪しは被写体のレイアウトに関係しそう。 |
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(円筒法、自動処理) パノラマ合成で一般的な投影法
Photo Stitchで合成した場合に近いが投影モデルが違うので俯瞰撮影に差が出る。(下側に出来た余白部分が投影中心との距離差を表しているか?) |
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(位置の変更のみ、自動処理)
PE3.0のPhotomergeと同様の結果。 |
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(手動設定)
位置の変更のみと同じ処理だが手動設定可能なように途中で処理が止まる。 難しい画像については滅茶苦茶な結果で途中で止まるが手動で合成点を設定すると、指定結果に対してパノラマ合成してつなぎ目が目立たなくなる。 |
・ Photo Stitch
キャノンのPhoto Stitchを使い始めましたが、こちらはレンズの歪を補正してパノラマ合成しているようです。 簡単に広範囲の画像のパノラマ合成ができるのでメインに使ってきました。 しかし、Photomergeでは画像サイズの制限なく合成するのに対してPhoto
Stitchは同サイズの画像しかパノラマ合成しません。 レタッチソフトを使用して画像サイズが変化したものはエラーとして処理しない。(画像の傾き補正が難しく、トリミングができない) しかし、操作が簡単ですぐに合成結果が見られるメリットがあります。
Photo Stitchの場合は画像に傾きがあってもパノラマ合成してくれますが、手持ち撮影の画像で結合点に対する補正がうまくいかない場合は結合点が結構目立ってしまいます。(画像に傾きがあると結合する対応点を指定した場合でも画像の歪が大きくなります)
(Photo
Stitchの特徴)
簡単にパノラマ合成できて撮影方法が適切であればきれいにつながります。 結合特徴点をマニュアルで指定する(試行錯誤的な方法)ことができます。 画像間での色調補正を自動処理するため色調変化が大きくて自動処理が難しいものは結合点がくっきり出ます。 画像イメージの結合点の処理がうまくできない場合は縞状のボケが出ます。 画像間で撮影画像の傾きがあっても合成できるが画像の歪が大きくなります。 画像間での色調補正を自動処理するためレタッチソフトで補正しても効果がない場合があります。(レベル補正で画像データのレベルの広がりを合わせる必要がある)
パノラマ合成がレンズの焦点距離を考慮した画像イメージの合成なので広角撮影画像を広い角度スパンで合成すると地平線や水平線に対して歪が大きくなります。(地上・水面に近い位置からの場合は良いが撮影位置が高いと顕著に出る傾向があり、円筒面への投影合成画像と比較すると縦横比に差があります)
合成結果の曲がり方を補正するために撮影時に結合画像中心線を想定して撮影をするときれいにつながります。 Photo Stitchのパノラマ合成のくせが分かってくると気付きますが、レンズを風景に合わせて振らずにパノラマ合成時の結合中心線に対して直線的にレンズの向きを変えるように撮影するとパノラマ合成結果が扇形になりません。
(注) 但し、この場合の撮影画像はPhotoStitch処理専用になってしまうので一般的なパノラマ合成に使うことが難しくなります。(風景によっては苦労してPhoto Stitch対応に撮影した画像が普通に撮影した場合とほとんど変わらないことがあります。 風景に対する俯角が問題で撮影範囲との兼ね合いになり、逆に反ってしまったことがあります。 被写体が平らな海の場合は意図通りになるが、山のある盆地のように立体的な風景の場合は実質的な俯角が少なく目で見た感覚とずれる場合があります)
(制限事項)
・画像サイズの違うものは合成しない。(フルサイズの撮影画像のみでトリミング画像はダメ)
・パノラマ合成処理の対象になるファイル形式に制限があるようです。(JPEGはOK、他機種もOK)
その後の新しいバージョンではPhotoshop形式も処理可能になり制限が緩和されました。(04-6-22)
(注意事項)
・Photo Stitchでは画像がコマ間で隣のコマと過剰に重複していてもパノラマ合成してくれます。 隣のコマと重複した部分があると色調の異常な部分が出来てしまい色調異常の部分を補正しようとしても異常な部分のコマを補正しても色調補正が効きません。 このような場合は余分なデータになっているコマの画像を削除することで解決できます。
(注)
Photo Stitchには画像の重複量が多過ぎることをチェックする機能があるが必ずしも100%確実に警告が出るものではないので注意が必要です。(撮影時に適切な重複量になるようにすることが重要)
・ Photo
Stitchのパノラマ合成例
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レンズの焦点距離を考慮して画像イメージの合う点を探してパノラマ合成します。
画像のタイプ指定やレンズの焦点距離入力*、
画像を重ねる/対応箇所を2ヵ所以上指定するなどのオプション指定ができます。
*画像の中に焦点距離情報がない場合 |
・ Photomerge (Photoshop Elements
3.0)
レンズの歪によってパノラマ合成は難しくなります。 Photomergeではレンズの歪を多少は考慮しているような動作です。 しかし、画像のズレが大きいと画像特徴抽出によるマッチングがうまくいかず自動合成してくれません。
Photomergeの場合の処理は画像の一致する境界線を探してパノラマ合成するので、境界線となる部分での色の一致度が高いと境界線がはっきりと出ず、一致度が低いとくっきりとした境界が線状に出ます。
(Photomergeの特徴)
撮影方法が適切、またはレタッチなどで合成の境界線部分の色調を合わせることができると結合部分での色調変化を抑えることができてきれいにつながります。 画像イメージの一致する部分が少なかったり、色調をうまく合わせられないと結合部分がはっきりと出てしまいます。 合成時に画像サイズを調整して結合点を調整できること、色調合わせの調整ができることが最大の特長です。 結合画像の境界線部分の一致度を上げるためには画像の傾きを調整する必要がある。
(注)傾きが合い過ぎると色調変化が強調される場合があるので若干の画像の傾きのズレが必要です。
・ Photomergeのパノラマ合成例
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画像のイメージそのものに対して画像イメージの合う点を探してパノラマ合成します。 |
3)Photomerge(円筒法)と Photo Stitchのパノラマ合成結果の違い
「ICEを入れた比較」(ICE、Photomerge、Photo Stitchの3つの比較)
4.後処理
パノラマ合成結果の画像の異常のチェックをして結合部分に異常がなければ、画像の傾き、トリミング、色調確認をして合成結果をJPEG形式ほか使用目的にあったファイル形式で保存します。
HP用には画像解像度を変換、アンシャープマスクで画像のシャープさの度合を調整してJPEG形式で保存します。
アンシャープマスク処理は重要で解像度変換を行ってボケた画像の輪郭をくっきりさせます。 最終のファイル保存の直前に行います。
5.ファイル形式について (ご参考)
・JPEGファイル
JPEGファイルはファイルサイズが小さく一般的に良く使われていますが非可逆性(元に戻せない)の圧縮処理を行っているために短所があります。 何か処理をすると画像が劣化し、画像劣化のチェックポイントがあります。
また、きれいな青空の場合には通常レベルの画質では空にJPEG変換の圧縮処理でノイズ(ブロックノイズ)が出るので圧縮レベルを下げた高画質で保存をしたことがあります。 青島 開聞岳
JPEGファイルでは画像処理を繰り返すと画像劣化が進むので、元画像を残しておき最短処理で結果を出すようにしています。
(注) JPEGファイルの画像に大幅な色調補正を行うと画像の中に影のようなまともに色調補正がかかっていないと思われる部分が出る場合があります。 このような場合にはPSD(Photoshop形式)ファイルのような可逆性のファイル形式に変換してから色調補正を行うときれいな画像になります。(BMP(ビットマップ)、TIFFファイルに変換しても可) |
・BMP(ビットマップ)ファイル
ファイルサイズが他の保存形式に較べて最大ですが加工を繰り返すのに向いています。
データの書換えもWindowsのペイントで拡大表示して変更や元データ消去で簡単に処理を繰り返すことができます。 ペイントで800%の拡大表示にすると1ピクセル単位まで簡単に操作ができます。
(参考) 写真マップのマップはビットマップ・ファイル(.bmp)を使って繰り返し処理しても画質劣化しないようにしています。(ビットマップ画像を編集して編集結果をPhotoshopで圧縮率を調整してJPEGへ変換保存) |
・TIFF(Tagged Image File
Format)ファイル
ビットマップ ファイル画像の符号化形式の一種。 PSDよりも広範囲に使われているが圧縮率はPSDよりも低い、PSDに対応していないソフトに対してPSDの代替として使って画像劣化を防止する場合に使える。 |
・PSD(Photoshop形式)ファイル
BMPよりはファイルサイズが若干小さいファイル形式ですが画像解像度が大きいとかなりファイルサイズが大きくなりHDDスペースを食います。(画像処理の繰り返し可能で画像劣化を防止する場合に使える) フィルム1コマの解像度が3700x2500ピクセル程度で26MBになることもあります。
旅行中にノートPCでPhotoshop形式の保存をかけると時間がかかりCPUを使っていることが分かりました。
データ圧縮をやっているようで同じ解像度でも写真によってファイルサイズが変ります。(BMPファイルとの差の割合が変化します) |
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